フィンランドや海外の豆乳と、日本の豆乳の違い、豆乳から豆腐ができる仕組み、いろいろな豆乳を固める実験については、以前の記事で確認しました。



さてこの記事では、実験結果を考察します。そして、豆腐作りに向く豆乳の選び方、そして豆腐の作り方を紹介します。
pH調整剤入りはダメ
まず、alproの豆乳を使った実験を考察します。実験結果から、pH調整剤が入っている豆乳は豆腐作りに使えない、といえるでしょう。正確には、固まるけれども、粒が細かすぎて豆腐になりません。
それでは、pH調整剤はどのように見分けられるのでしょうか。成分表示を見ると、英語ではacidity regulator、フィンランド語ではHappamuudensäätöaine、と書いてあります。成分で考えると、リン酸化合物が含まれるものは間違いなくpH調整剤入りです。つまりphosphateと表記がある豆乳は、豆腐作りに適さないと考えてください。
安定剤入りでは作れるけれど
次に、Lidlの豆乳を使った実験を考察します。実験結果から、海藻由来やゲランガムなどの安定剤が入っている豆乳から豆腐は作れることがわかりました。ただし、舌触りは滑らかではありません。小さな粒がたくさん集まったような食感です。
安定剤の働く仕組み
それでは、安定剤はどのように働くのでしょうか。豆腐作りの仕組みと照らし合わせて考えてみます。
当初わたしは、安定剤はタンパク質に化学的に作用し、沈殿しにくくしているのではないかと考えていました。しかし、安定剤が海藻由来であったり、ゲランガムであったりすることと、実験の結果から、予想とは違う働きを考えました。
わたしは、安定剤は豆乳液の粘度を高め、物理的に安定にしている、と考えています。
小さな粒になる理由
また、安定剤入りの豆乳を使うと、豆腐は大きなかたまりにはならず、ぼそぼその塊ができました。これは、塩基性のにがりを多量に加えたため、タンパク質の立体構造が変性し、粒子同士が結びつきにくくなったのではないかと予想しています。
重曹パスタを作ると、ゆで汁が黄色くなります。今回もにがりが多い場合は上澄み液がやや黄色がかっていました。
理由はなんにせよ
いずれにせよ、安定剤入りの豆乳でも豆腐ができるのは確かです。こちらの豆腐も、硬めの木綿豆腐として美味しいと感じたので、レシピにしました。
水と大豆のみの豆乳を使おう
最後にPirkkaの豆乳の実験を考察します。結果から分かったように、無調整豆乳よりも大豆の量が少なかったり、タンパク質量が少なかったりしても、にがりの量を調整すれば豆腐が作れることが分かりました。
ただ、日本の豆腐よりも滑らかでクリーミーな食感になりました。理由は二つ考えられます。一つ目は、タンパク質量が少ないために、粒子が十分に成長しなかったから。二つ目は、粒子を作るためにpHをかなり下げる必要があり、タンパク質が変性してお互いの結びつきが弱くなったからです。
クリーミーな豆腐も、リコッタチーズのような食感で美味しかったです。そして、この豆乳を使えば、絹ごし豆腐は問題なく作れました。
海外の豆乳で作れる豆腐まとね
海外の豆乳で作れる豆腐は、わたしの作った範囲では三種類あります。
安定剤なし→木綿豆腐
豆乳の濃度が薄いためか、豆腐のプルプルとした感覚はなく、リコッタチーズのような滑らかさがありました。これはこれで美味しいですが、豆腐らしさを求めるなら他の二つがいいでしょう。
安定剤なし→絹ごし豆腐
水にさらして苦味を抜く必要がありますが、食感は完璧。滑らかな絹ごし豆腐です。
安定剤あり→木綿豆腐
ちょっと硬め&粗めの木綿豆腐ですが、使った豆乳の濃度が濃かったので、かなり豆腐の風味が強く、美味しかったです。
豆乳選びが大切
豆腐作りのための豆乳を選ぶときは、必ず成分表示を確認してください。水と大豆のみなら、豆腐を作れます。安定剤が入っている場合も、粗めの木綿豆腐が作れます。pH調整剤が入っている場合は、私が試した範囲では、豆腐は作れません。
レシピ
木綿豆腐の作り方と豆乳の選び方 無調整豆乳がなくても海外でも

- 豆乳 500 mL
- にがり
- 計量カップ
- 計量スプーン
- 鍋
- シリコンヘラ
- ガーゼ
- 穴の開いた容器
- 原材料を確認し、水と大豆のみを使ったもの、もしくは水、大豆、安定剤のみのものを選ぶ。
- 水と大豆だけでも、濃度が7%程度だと食感がややクリーミーになる。絹ごし豆腐も作れる。絹ごし豆腐の作り方と豆乳の選び方 海外で調整豆乳でも無調整豆乳が売られていない海外でも、市販の豆乳を使って豆腐が作れます。豆乳を選ぶときは、必ず成分表示を確認してください。このレシピは、水、大豆が材料の豆乳から作る絹豆腐です。
- pH調整剤が入っているものは適さない。詳しくはページ上部参照。
- こちらのレシピを参考に、手に入りやすい材料で、液体のにがりを作る。粉末のにがりの分量 液体のにがりの作り方粉末のにがりをどれくらい溶かせば液体のにがりになるのでしょうか。市販の液体のにがりは商品によって濃度が異なりますが、粉末から自分で作ればいつでも同じ濃度で、安定して豆腐が作れます。
- 鍋に豆乳を入れ、中火にかける。
- シリコンヘラで絶えず混ぜながら、沸騰直前まで加熱する。
- にがりを入れて混ぜる。にがりの量は下記参照。
- 蓋をして30分静置する。
- 穴の開いた容器に布を敷き、鍋の中身を流し込む。
- 布でくるみ、重しをして脱水する。
- 好みの硬さになったら出来上がり。
- にがりの濃度によって異なる。液体のにがりの場合はラベルの表記に従う。
- 少量の豆乳とにがりで予備実験をしておくと良い。
- このレシピで作ったにがりの場合、大豆固形分が7%程度の場合は、豆乳500mLに対し小さじ4入れる。粉末のにがりの分量 液体のにがりの作り方粉末のにがりをどれくらい溶かせば液体のにがりになるのでしょうか。市販の液体のにがりは商品によって濃度が異なりますが、粉末から自分で作ればいつでも同じ濃度で、安定して豆腐が作れます。
- 8%以上の濃度の場合は、小さじ2を入れて静置、固まらな場合は再度加熱して小さじ1ずつにがりを増やす。