強力粉だけを使った、オーバーナイト長時間発酵のカンパーニュです。こねないパンのレシピの中で一番簡単に作れるサワードウブレッドです。
こねないパン?
ハードブレッドを焼いてみようと思い、いろいろ調べていたところ、NY TIMESのこねないパンというものに出会いました。
冷蔵庫でのんびり発酵させるオーバーナイトブレッドのことは知っていましたが、何やかや面倒だという印象でした。このレシピは、室温で発酵させることや、他のレシピのように細かいことを言わず、ざっくりと作れることが気に入りました。もちろん、出来上がりのパンは驚くほど美味しいです。ただ、個人的に面倒だと思う点もいくつかあったので、そこを改良しました。
こねないパンの仕組み
まず、パンを作るとき、なぜ捏ねるのでしょうか?どうしてこねないパンが作れるのでしょうか?こねないパンの仕組みやパンをこねる理由について、こちらの記事にまとめました。
お鍋も大切
レシピに「オーブンに入れられる薄手の鍋」と書いていますが、私は主に宮崎製作所のジオを使っています。
日本で一人暮らしを始めたときに買って以来、10年近く愛用している鍋です。ほかにも、フィンランドのFinelのお鍋もおすすめなのですが、もう生産されておらず、セカンドハンドで探すしかありません。
ルクルーゼやストウブなど、厚手のアイロンキャストの鍋を使ったレシピでは、あらかじめ鍋を予熱していることがほとんどです。
宮崎製作所のジオは、アイロンキャスト鍋に比べるとかなり薄手です。そこで、予熱なしで焼いてみたところ大成功しました。アイロンキャスト鍋よりも軽く、扱いやすいのも気に入っています。
もちろん、パンを焼く以外にも大活躍する鍋です。あんこを茹でるときは、水分をしっかり保持してくれるのでとても助かります。油なしで炒め物をしても焦げ付かず、シリコンヘラでなでるだけでこびりつきもするするはがれるので、カレーを作るときは必ずこの鍋を使っています。
小麦粉の種類も大切
こねないパンは、長時間発酵させて、ゆっくりとグルテンを作ります。そのため、基本的には、普通のパンと同様に、薄力粉と強力粉を混ぜたり、強力粉だけで作ったりすることができます。
サワードウブレッドを作る場合は、クラストのパリパリ感を楽しむために、強力粉だけで作ることをお勧めします。
作業を楽にする工夫
例えば、作業台に生地を置くと、水分量が多いので台がかなり汚れます。その割に、別に台でこねるわけでもありません。ただただ洗い物が増えるので嫌でした。二次発酵と焼成に違う容器を使うと、また洗い物が増えます。私は洗い物が世界で一番嫌いです。
また、水の割合についても色々実験しました。粉の重さに対して、水の量(加水量)が85%を超えると、かなりべたついて、焼いたときの高さも出にくくなりました。もちろん美味しいのですが、焼き上がりの形や扱いやすさを重視して、このレシピでは加水量80%にしました。
クープを開かせるために
ハードブレッドを焼き始めたときは、とにかくクープが開かなくて困りました。きれいにクープを入れるのももちろんですが、それ以外に見つけたコツを書いておきます。
一つは、レシピにもあるように鍋を使い、蓋をすること。私は、薄手の鍋を予熱せずに使っています。これは、鍋の中の温度上昇を穏やかにして、クープの開く60℃程度の温度に長くとどめるための工夫です。
もう一つは、表面のグルテン膜をしっかり張らせること。成形の手順の「なでるように」というところで、しっかりと表面に張りを出します。べたついてきたら、随時小麦粉をかけてください。
朝起きてすぐ食べたいので、二次発酵の時間は短めにしてあります。そのため、この張りを出す作業がかなり大切です。
何度か試して作りやすい水分量を
うまく成形できない場合は、水の量を減らしてみてください。レシピでは加水率80%ですが、70%くらいに減らすとかなり扱いやすくなります。ここで生地の扱い方に慣れてから、徐々に加水率を増やすのもおすすめです。シンプルなレシピだからこそできる裏ワザです。
このレシピでは、私が見つけたコツをたくさん盛り込み、かなり丁寧に手順を解説しています。一見面倒に見えますが、やっていることはNY TIMESのレシピよりもシンプルです。
本当に簡単に美味しいカンパーニュが焼けます。こんなに簡単なのにこんなにおいしくていいのかと、毎回驚く味です。
レシピ
こねないパン オーバーナイトで長時間発酵カンパーニュ

- 強力粉 300 g
- 水 240 g
- 塩 4 g
- ドライイースト 1 g
- 電子はかり
- ボウル
- シリコンヘラ
- クッキングシート
- 丸ごとオーブンに入れられる薄手の鍋(*1)
- ボウルに強力粉、塩、ドライイーストを入れ、軽く混ぜる。
- 水を入れる。
- 粉っぽさがなくなり、一つにまとまるまでへらで混ぜる。
- ラップをして、15-25℃の室温で一晩、12時間程度寝かせる。(*2)
- 生地が二倍程度に膨らみ、表面に小さな泡がいくつも見えたら一次発酵完了。
- クッキングシートを大きめに敷き、小麦粉大さじ2(分量外)をまんべんなくふるう。
- へらを使い、発酵した生地をボウルのふちや底からはがす。
- 小麦粉をふるったクッキングシートの真ん中に生地を落とす。
- クッキングシートの対角線上を持ち上げ、生地の側面に小麦粉をまぶしながら、生地をまとめる。もう一方も持ち上げ、何度か繰り返して生地を中心にまとめる。(*3)
- 手を使い、生地の端を中心に寄せ、丸くまとめる。
- 両手ですくうようにして生地を持ち上げる。
- 生地を裏返し、滑らかな面を上にする。
- 滑らかな面を保ちながら、形を整える。生地のてっぺんから下の方へ、表面をなでるようにしながら高さを出す。生地の表面に張りを出すと、クープが開きやすい。
- 生地を片手で持ち、もう片手で、クッキングシートに残っている小麦粉を端の方によける。
- クッキングシートの中央に生地を置く。
- クッキングシートに残った小麦粉を生地の上に薄くかける。残りは捨てる。
- クッキングシートごと、生地を鍋の中に入れる。
- 蓋をして、30分程度二次発酵させる。
- オーブンと天板を200℃に予熱する。
- 蓋を取り、包丁の先端に油をつけ(*4)、生地の表面ににクープ(切れ目)を入れる(*5)。
- 蓋をしたままの鍋をオーブンに入れる。
- 20分加熱する。コンベクションモードなど、庫内の温度が均一に保たれる機能があるとなお良い。
- 蓋を取って、生地が膨らみ、軽く焼き色がついていることを確認する。
- 蓋を取って、焼き色がつくまで10-15分焼く。