中華麺・うどん・パスタの違いと重曹パスタの仕組み

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在外邦人の中で有名な裏ワザのひとつに「パスタを重曹で茹でて中華麺にする」というものがあります。私もよく使っているこの裏ワザ、科学的にどういう仕組みで起こるのでしょうか?

この記事ではいろいろな麺の種類とその性質について紹介しています。

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中華麺、うどん、パスタの材料

まずは、それぞれの原材料を確認しておきましょう。

  • 中華麺…小麦粉(準強力粉)、かん水
  • うどん…小麦粉(中力粉)、水、塩
  • パスタ…小麦粉(デュラムセモリナ粉)、水
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うどんと中華麺の違い

うどんも中華麺も、基本的な材料は小麦粉と水です。両方ともコシがあり、そのコシは、小麦と水を混ぜてできるグルテンに由来します。

しかし、うどんと中華麺の食感は明らかに異なります。これは、小麦と水以外の材料が、それぞれ異なる働きをしているからです。

グルテンはタンパク質の一種

小麦粉には、グリアジンとグルテニンというタンパク質が存在します。そして、ここに水を加えると、グルテンというタンパク質ができます。

そして、グルテンの強さは、もともとの小麦粉に含まれるたんぱく質の量や、こねる強さ、pHや添加物など、様々な条件によって変化します。

うどんは「グルテン×食塩」

うどんの原材料は、小麦粉、水、食塩です。食塩は、主にグリアジンに働きかけます。(*1)

グリアジンは、もともと水に溶けないタンパク質です。しかし、食塩があることで水に溶けるようになります。

さらに、この水に溶けたグリアジンは、食塩が存在するとギュッと集まることが分かっています。小麦、水、食塩で作るうどんにコシがあるのはこのためです。

ラーメンは「グルテン×かん水」

ラーメンなどの中華麺の原材料は、小麦粉、水、かん水です。かん水は塩基性(アルカリ性)の液体です。そして、かん水は、主にグルテンの中の「グルタミン」に働きかけます。(*2)

タンパク質は、無数のアミノ酸が結びついてできています。このタンパク質を構成するアミノ酸のうちの一つがグルタミンです。そして、小麦のタンパク質は、その30%以上がグルタミンです。

グルタミンは、塩基性の条件で、グルタミン酸に変化し、同時にアンモニアを放出します。このグルタミン酸は、酸性アミノ酸というグループに分類されます。そして、グルタミン酸は、塩基性アミノ酸(リシン、アルギニン、ヒスチジン)と強く結びつきます。中華麺のコシはこのように作られています。

かん水は香りにも影響

ラーメン屋のにおい、というと、きっと皆さん同じような臭いを思い出すでしょう。スープなどのいい香りに交じって、少し臭ような、いい匂いのような、なんだか癖になるにおいがします。

これは、かん水がグルタミンと出会ってできたアンモニアの香りです。香りは、味と並んで料理にとってとても大切な要素です。中華麺独特の香りも、かん水によって生み出されます。

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パスタと中華麺の違い

パスタの原料は、小麦粉と水です。どちらも弾力があり、そして、黄色っぽい色をしています。しかし、その色の理由は大きく異なります。

パスタの弾力は小麦粉のグルテン由来

パスタには、デュラムセモリナ粉がよく使われます。これは、デュラムという種類の小麦から作られる、セモリナというタイプの、普通の小麦粉より粗い小麦粉のことです。

デュラム小麦はマカロニ小麦という別名を持つほど、パスタ作りにピッタリの小麦粉です。

パスタの黄色は小麦粉の色

デュラムセモリナ粉がもともと黄色いため、パスタは黄色くなります。

中華麺の黄色はかん水の働き

中華麺の色は黄色です。この黄色は、かん水の働きで生み出されます。(*3) パスタを重曹で茹でると、ゆで汁が黄色くなることからも、かん水の働きがよくわかります。

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パスタが中華麺になる仕組みは?

ここまで、中華麺、うどん、パスタの違いを確認しました。

次の記事では、パスタが中華麺になる仕組みについて、レシピも併せて紹介しています。

ラーメンについては、こちらの本を参考にしました。

参考文献

*1

https://img.atwikiimg.com/www12.atwiki.jp/cookingappliance/attach/107/23/0812-1.pdf

*2

*3