調整豆乳で豆腐を作る-2 豆乳から豆腐ができる仕組み

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フィンランドや海外の豆乳と、日本の豆乳の違いについて、前の記事で確認しました。

実は、大豆固形分やタンパク質量にはあまり差がないこと、製品によって安定剤やpH調整剤が含まれていることが分かりました。

さてこの記事では、豆乳から豆腐ができる仕組みを解説します。

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豆腐はコロイドの塩析じゃない?

実は、豆腐はコロイドの塩析ではないようなんです。いきなり何、と思われるでしょうが、豆腐はコロイドの塩析、というのは高校化学では定番の題材です。

豆乳中では、たくさんのタンパク質が集まってコロイドを形成してる。そして、にがりを加えることで、塩析を起こし、豆腐になる。これが、高校の教科書や参考書に書かれている内容です。

ですが、豆腐のでき方について論文を読んでみると、実際の反応はもっと複雑なようです。

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豆腐のできる仕組み

ここでは豆腐のできる仕組みを、論文に基づいてかみ砕いて説明していきます。ややこしいなと思われる場合は、飛ばして、次の記事に進んでいただいて大丈夫です。

まず、豆腐のできる仕組みについて、キーとなる文章を引用します。

豆乳は11S,7Sタンパク質の表面を一部に結合したオイルボディ(オイルボディ様粒子)と粒子タンパク質および可溶性タンパク質を主な成分とする乳濁した分散液であると考えられる。
(中略)
豆腐の形成は、豆乳に凝固剤を添加すると先ず粒子タンパク質の油滴への結合で始まり、次に可溶性タンパク質がさらに結合して進行すると考えられる。

https://core.ac.uk/download/pdf/144248469.pdf

これが、豆腐のできる仕組みです。これだけではよくわからないと思うので、この論文の中身を踏まえて、順を追って説明します。

加熱前の豆乳

まず豆乳とは、単純なタンパク質のコロイド溶液ではないということです。豆腐作りに関係あるものでは、油滴とタンパク質が含まれています。

加熱する前の豆乳には、タンパク質がそのまま水に溶けたもの(可溶性タンパク質)と、油滴をタンパク質が取り囲んでできたもの(タンパク質結合油滴)が含まれています。

加熱後の豆乳

豆乳を加熱すると、油滴と粒子タンパク質の結合が切れ、タンパク質だけで粒子 を作ります(粒子タンパク質)。つまり、加熱した豆乳には、タンパク質がそのまま水に溶けたもの、タンパク質が粒子となったもの、そして、油滴(オイルボディ)の三種類が含まれています。

にがりの働き

加熱後の豆乳ににがりを入れると何が起こるのでしょうか。

まず、pHが下がり、タンパク質の溶解度が下がります。この仕組みについてはカッテージチーズのページで詳しく触れています。

溶解度が下がるのは、タンパク質の電荷がゼロになっているためです。タンパク質は油滴と再び結合します。最初は可溶性タンパク質として水に溶けていたタンパク質も、溶解度が下がり油滴と結合します。この粒子同士がお互いに結びついてできるのが、豆腐のもととなるプルプルの塊です。

豆腐の種類

このぷるぷるの状態で提供すると、おぼろ豆腐や、寄せ豆腐などと呼ばれます。ただ、おぼろ豆腐という名前からもわかるように、かなり柔らかいです。これは、粒子同士が結びつくときに、多量の水を抱え込んでいるからです。

これを崩して箱に詰め、圧をかけて固めたものが木綿豆腐です。絹ごし豆腐は、豆乳と凝固剤を容器に入れ、そのまま固めたものです。

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豆乳を固める実験

さて、豆腐ができる仕組みが分かったところで、いよいよ豆乳を固める実験に移ります。