レイパユースト=ブレッドチーズとクラウドベリージャムは、フィンランドの代名詞。レンネットさえ手に入れば、自宅で作ることができます。
フィンランドの代名詞
フィンランドの食べ物といえば、シナモンロール、そして、このレイパユースト、leipäjuusto=ブレッドチーズです。レイパユーストは発酵なしのチーズです。実は、味はほとんどないのですが、大切なのはその食感。もきゅもきゅとした食感が特徴で、クラウドベリージャムと一緒に食べるのがフィンランド流です。
フィンランド以外でも楽しめる
このレイパユースト、フィンランドではどのスーパーでも買える定番のチーズです。しかし、もちろんフィンランド以外ではあまり見かけません。実は、このレイパユースト、発酵なしということもあり、自宅で簡単に作ることができるんです。
レンネットでチーズを作る
レンネットは、牛乳からチーズを得るために使われます。主にキモシンという酵素が、牛乳のたんぱく質に働きます。
子牛から採られていた
実はこのレンネット、昔は、生まれて間もない牛やヤギから採られていました。子供の牛やヤギの第四の胃には、母乳を分解するためにレンネットが含まれるのです。
もちろん、このためには牛やヤギをと殺する必要があります。そして、供給の安定や酪農家の負担を考えて、現在では植物や微生物から抽出・培養されたものが広く使われています。
レイパユーストができる仕組み
それでは、レンネットを使ってチーズができる仕組みを簡単に見てきましょう。
牛乳にはたんぱく質が含まれる
まず、牛乳には、タンパク質が約3.3%含まれています。そのうち約80%がカゼイン、約20%がホエータンパク質です。レンネットの中のキモシンは、このうちのカゼインに反応します。
カゼインの性質
カゼインは、牛乳の中でミセルというかたまりを作っています。このミセルは負に帯電していて、お互い反発しあうので非常に安定です。牛乳をいくら放置してもチーズにならないのはこのためです。
キモシンの働き
そして、レンネットに含まれるキモシンは、カゼインの分子を、あるきまった部分で切断します。
より正確には、カゼインのうちのκ-カゼインという種類のある一定の場所だけ、切断します。切断された先端部分は牛乳に溶けますが、残りの大きな部分は溶けません。これが、リン酸塩やカルシウムを介し、他の粒子と結合することで、大きなかたまりとなって沈殿します。この沈殿が、チーズのもととなるカードです。
レンネットは必須?
レイパユースト作りにレンネットは欠かせません。ですが、日本ではなかなか手に入れにくい材料です。
家庭でチーズを作る方法として、牛乳にレモンやお酢を入れるというものがあります。この方法で、レイパユーストは作れるのでしょうか?
結論から言うと、レイパユーストにレンネットは必須です。くわしくはこちらにまとめました。
家庭で楽しむフィンランドの味
レンネットさえ手に入れば、簡単に作れるのがこのレイパユーストです。ぜひ一度試してみてください。

人気のフィンランド料理はこちらです。
レシピ
手作りレイパユースト フィンランドのブレッドチーズ

- 牛乳 (無調整) 2 L
- 塩 1 小さじ
- レンネット (液体) 1 小さじ
- 計量スプーン
- 鍋
- 温度計
- シリコンヘラ
- ざる
- ガーゼ
- レンネットは必須。液体のものはレシピ通り、粉末のものは説明書に従って使う。https://amzn.to/3qfi7pq
- 鍋に牛乳と塩を入れる。
- 鍋を中火にかけ、36℃にあたためる。
- 火を止めてレンネットを入れ、すぐによく混ぜる。
- 蓋をして、室温で30分置く。この間に、全体が固まる。
- 30分後、シリコンヘラやおたまでかたまりを砕く。
- 蓋をして、室温で10分置く。この間にホエー(液体)とカード(固体)に分離する。
- 鍋の上にざるを置く。ざるにガーゼを敷く。
- 鍋の中身を少しずつガーゼにそそぐ。ホエーが分離され、ガーゼの上にカードがのこる。
- ガーゼでカードをくるみ、強く絞ってホエーを抜く。ホエーはリコッタチーズやパン作りなどに使える。
- ざるの上に、ガーゼごと、絞ったカードを戻し、皿などで重しをする。*1
- 冷蔵庫に入れ、一晩かけて水気を切る。
- オーブンを275℃に予熱する。
- 耐熱容器にチーズを入れる。
- オーブンで5-10分、焼き色がつくまで焼く。
- カッテージチーズのレシピで、レイパユースト作りに挑戦しました。レンネットは必要?カッテージチーズでレイパユーストフィンランドの代名詞ともいえるレイパユースト=ブレッドチーズ。レンネットなしでも作ることはできるのでしょうか?
- カッテージチーズのレシピはこちら。無料公開を終了しました | Piece of Oishi酒なし、みりんなし、現地の食材で作れるレシピ&料理の科学&海外の食材考察サイト
- チーズ、お豆腐、こんにゃくなど、食品を固める仕組みについて考えました。無料公開を終了しました | Piece of Oishi酒なし、みりんなし、現地の食材で作れるレシピ&料理の科学&海外の食材考察サイト
この段階で成形します。底が丸いざるを使うと、ドーム型のチーズになります。フィンランドで見かける、平べったい形を作りたい場合は、ふるいのような、底が平らなざるを使ってください。 人気のフィンランド料理はこちらです。