うま味の分類の記事では、うま味の種類を分け、それぞれのうまみを含む食材を紹介しました。
もちろん、最初からうま味が豊富な食材はいろいろありますが、実はそのうま味の量をさらに増やすことができます。冷凍きのこやドライトマトです。
うま味が増える理由
そもそも、加工によってうま味が増えるのはなぜでしょうか?それぞれの食品について確認していきましょう。
しいたけの場合
前の記事でも触れたように、生のしいたけの主なうま味成分はグルタミン酸です。しかし、干ししいたけにはグアニル酸も多量に含まれます。
しいたけを乾燥すると、しいたけの細胞が破壊されます。そしてグアニル酸は、細胞が破壊された後に、核酸が酵素により分解されることで作られるのです。
豚肉の場合
豚肉も生ハムもうま味の強い食材です。生の豚肉はイノシン酸を多量に含んでいるのに対し、生ハムのうま味成分は、主に熟成段階で生成されたグルタミン酸です。
イノシン酸は、筋肉内に含まれるATPという物質が分解されてできます。と殺後、しばらくはイノシン酸が増加しますが、その後さらに分解されて減少します。このため、生ハムにはイノシン酸はほとんど含まれません。生ハムのうまみ成分は、熟成の過程で生成されたグルタミン酸です。
うま味が増える理由
以上のことから、細胞を壊したり、熟成させたり、凝縮させたりすると、うま味が増えることが多い、というのが分かりました。実は、これらは家庭でも簡単にできるのです。
食材のうま味を増やす方法
それではさっそく、家庭でできるうま味アップの方法を紹介します。
ドライトマト
トマトは、もともとグルタミン酸が豊富です。そして、トマトを乾燥させることでそれが凝縮され、うま味のギュッと詰まったドライトマトになります。
乾燥きのこ
生のきのこ類に含まれるうま味成分は、グルタミン酸です。
しかし、加工によってきのこの細胞が破壊され、核酸が分解されることでグアニル酸が生まれます。干ししいたけのうま味が強いのはこのためです。
また、水分が抜けることでうま味成分が凝縮されて、うま味をより強く感じます。つまり、干しシイタケなどの乾燥きのこはグルタミン酸とグアニル酸をたくさん含みます。
ただ、自分できのこを乾燥させるのは、面倒です。キノコ狩りの盛んなフィンランドでは、食材を乾燥させるためのフードドライヤーもよく見かけます。でも、面倒です。湿気の多い日本ならなおさら、かびさせずに乾燥させるのは手間がかかります。
そして個人的な意見ですが、きのこはその香りも大きな魅力です。機械を使って乾燥させていると、その間にとてもいいにおいがします。ですがそれは、香り成分がきのこから抜けているということです。なんてもったいない。
冷凍きのこ
そこで私がおすすめしたいのは、冷凍きのこです。
冷凍することで、きのこの細胞が破壊されてグアニル酸が生成され、うま味アップ。しかも香り成分も飛んでいかない。そして何より楽。我が家では、秋に収穫したきのこや安売りのきのこは、すべて冷凍してあります。
ただ、冷凍により食感に変化が出るので、すべてのきのこが冷凍に向いているわけではありません。この辺りは、生のきのこと一緒に料理することで解消されます。
賢くうま味を増やして、さらにおいしいご飯を食べましょう。
美味しさについて、こちらの本を参考にしました。味に関して疑問に思ったときは、真っ先にこの本を調べる、わたしの愛読書です。