フィンランドで教員にならないと決めた理由

Move to Finland

私は日本で教員をしていました。理科が大好きで、科学に関わる仕事がしたくて教員になりました。教員は天職だったと言い切れるくらい教員が大好きでしたが、フィンランドでは教員にならないという決断をしました。

インターンで得た自信

フィンランドに来て最初の一年間は、ボランティアとして高校で教員をしていました。授業はすべて英語です。日本文化に関するコースを担当し、生徒たちは修了して単位を得ました。語学の壁はあったものの、伝えたいことは十分に伝えられたし、シャイなフィンランド人の心をこじ開ける仕掛けを考えるのも楽しかったです。

その他に専門の化学の授業や、他の色々な教科にゲストとして呼んでいただき、授業をしました。担当の先生方にも好評で、口コミで他の学校からも声がかかりしました。たち消えてしまいましたが、有給でコースを持ってほしいという話もありました。

日本で5年間、歯を食いしばって努力してきたことが、他の国でも通用するとわかったのは本当に大きなことでしたし、とても自信になりました。

教員になる可能性はある

資格の面では、教員になる可能性は十分にありました。私は大学院まで卒業しているので、フィンランド語を習得し、大学に一年ほど通えば、日本の教員免許から書き換えができるそうです。私は語学が大の苦手ですが、教員になるためならフィンランド語を頑張れるかもしれない、と思ったこともあります。

日本よりも働きやすい

フィンランドの先生たちの働き方を見て、正直に羨ましいと思いました。自分の授業がない時間は出勤する必要がありません。お給料もとてもいいです。高校にはクラスがないので、学級運営もありません。生活相談などの担当の先生がいるので、生活指導に割かれる時間も殆どありません。

日本にいたときに、こうしてほしい、と思っていたところが、殆どすべて叶えられているような環境でした。

教員の楽しさとは

それと同時に、日本の学校教育の素晴らしさも感じました。もちろん、日本の学校には、改善しなければいけないところがたくさんあります。ですが、フィンランドの学校システムでは得られない経験ができました。

卒業後も慕ってくれたり、折に触れて連絡をくれたり、困ったときに相談してくれたり、教え子とそんな信頼関係を築くことができたのは、日本の教育システムのおかげだと思います。

そして、信頼関係というのは、実は教科の習得にも影響を及ぼしています。普段と様子が違うから声をかけたり、わかっているかどうかを表情やリアクションから読み取ったり。そんな事ができるのは、毎日出勤して、クラスの様子を見て、生活指導をして、教科教育以外のところで時間を割いているからです。

良し悪しではなく向き不向き

私は、理科が大好きで教員になりました。理科の楽しさを伝えたいと思って教員になったら、そこにいる生徒たちと真剣に向き合い、正直に接することが、想像以上に楽しいと気づきました。

もちろん、教科教育に力を入れたい人は、フィンランドの教員の働き方は向いていると思います。そしてなにより、日本の教員の働き方は褒められたものではありません。ですがそれでもなお、フィンランドがいいとか、日本がいいとか、そういうことではないと思うのです。

私は、フィンランドで教員になっても、日本にいたときほど教員生活を楽しめないだろうと思いました。これが、私がフィンランドで教員にならなかった理由です。

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