フィンランドの夏はアウトドアにもってこい。ですが、セイヨウイラクサには気を付けて。とげがある危険な植物ですが、実は食べることもできます。
一気に芽吹く草花
フィンランドの夏は急にやってきます。ある日、木々の葉っぱが芽吹きだしたと思ったら、一週間もしないうちに辺り一面緑色。まるで魔法を使ったかのような変化に、毎年驚かされます。
そして、魔法のような変化が起こるのは木々だけではありません。申し訳程度に芝生が生えているだけだった地面も、わさわさと草が茂り、タンポポなどの野草が所狭しと生えてきます。
ふわふわの綿毛の正体
さらには、森にも変化が。新緑や、道端の草花が美しいのはもちろんのこと。それだけでなく、ふわふわとあたりを舞う綿毛が、なんとも幻想的な雰囲気を作り出してくれます。実は、この綿毛はタンポポのものではありません。ネコヤナギの種です。
ネコヤナギといえば、春といっても雪が溶けただけで、まだまだ肌寒い頃に芽吹き、私たちの元に真っ先に春を告げる植物です。ふわふわだったつぼみが花開き、実を結び、あちこちから飛び出してきたわけです。
ですから、この綿毛を見ると、幻想的な雰囲気とともに、月日の経過を感じて、なんだかちょっとノスタルジックな気分にもなります。
絶好のハイキング日和
さて、フィンランドの夏といえば、やるべきことがたくさんあります。絶対に欠かせないBBQや、サウナからの湖ダイブ、コテージでのんびり過ごしたり、遅くまで白夜を楽しんだり。
そんな中でも、やはり私が大好きなのがハイキングです。ハイキングといっても、何日も歩き続ける本格的なものではなく、近所の森をお散歩する程度のものです。
ノッコネンに気を付けて
森の中を歩いていると、道沿いにいろいろな花が咲いています。少し分け入って様子を見てみよう、と思ったときに注意したいのがNOKKONEN(ノッコネン)です。
ノッコネンは、日本語でセイヨウイラクサ。イラクサといえば、聞き覚えのある人も多いかもしれません。もちろん、見た目はただの草ですが、少々厄介です。
セイヨウイラクサの棘に注意
セイヨウイラクサは、日本に生えているイラクサ同様に、とげがあります。そして、その棘の中に、アセチルコリンやヒスタミンなどを含んでいます(*1)。とげが刺さると痛みやかゆみを引き起こすのはこのためです。
ちなみに、イラクサの和名は蕁麻。そうです、蕁麻疹というのは、このイラクサに刺された状態から名前が付けられたんです。(*1)
セイヨウイラクサの見分け方
繰り返しますが、ノッコネン、セイヨウイラクサの見た目は、ただの草。ですが、見た目に特徴があるので、気を付ければ十分に避けることができます。
まず目につくのが、ぎざぎざの葉っぱと、くっきりとわかる葉脈です。どことなく、シソに似た雰囲気があります。
そして、初夏のフィンランドで見かける他の草花よりも、茎が太く、しっかり、まっすぐとしています。もちろん、近くで見ると、とげを見つけることができます。
さらに、セイヨウイラクサは、かなりまとまって生えています。一本見つけたと思ったら、あたり一面セイヨウイラクサだった、なんてこともあります。
セイヨウイラクサは食べられる
なんとなく危険なイメージがあるセイヨウイラクサ。しかし、実は食べることができます。フィンランドでは、ペーストにして食べることが多いです。こちらでレシピを紹介しています。
森では夏でも長ズボン
フィンランドで森に行くときは、夏でも長ズボンを履いていくとよいでしょう。フィンランドには、危険な動物や植物はほとんどありません。ですが、今回紹介したセイヨウイラクサだけでなく、南部にはマダニも生息しています。十分に気を付けて、フィンランドの夏を楽しみたいものです。